輪廻
午前二時に蝶を見ることはまれだ
それも、真冬の最中となれば、これは一層まれだ
この世界には奇跡は存在しない
だが、確率の異常とも思える偏りが不思議な現象を起こすことはある
それを奇跡と呼ぶのかもしれないが
いつものように昼過ぎに起きたため、
午前0時をまわっても、一向に眠気がおとずれる気配はない
こんな時には、ネットゲームで奴隷船でオールを漕ぐような
単純労働を繰り返すか、オナニーして身体をつかれさせるかの2択なのだが
今夜にかぎっては、ビデオ屋に繰り出すという選択をしてみた
最近、ビデオ屋の使用率が異常に上がっている
半分は仕事なんだが、アクション系の映画ばかり見ている
時には間違って「フロムダスク・ティルドゥーン」とか借りてしまう
まぁ、必要なコストだ
今日は、最近制覇を狙っているジェット・リー主演の"The One"、
スターウォーズのエピソード2(これはただの趣味だな)
ジョジョの奇妙な冒険4巻、5巻、ヘルシング2巻を抱えて
ビデオ屋を出ることとなった
その帰り道で蝶を見た
最初は見間違いorついにおれの脳みそにお迎えが来たのかと思ったが
どうやら幻覚じゃない
人通りのない住宅街の十字路で、蝶の消えた先を見つめたまま
しばし立ち尽くす
一回なら、気のせい
そうやって消えた奇跡がいくつあったのかはわからないが
とりあえず、そう思って歩きだそうとしたところに2頭目がふわりと現れた
目を細める
奇跡なら、奇跡なりの理屈が欲しかった
光が見えた
高級住宅街に属するこの辺りには、
クリスマスに電飾を家中に張り巡らせるというキチガイじみた風習がある
その、見栄っ張りレースに参加している家の一つのベランダに
電飾で出来たトナカイに引かれたサンタクロース型のランプが、
庭木を擦るように無理やり置かれていた
ランプの暖かさが、冬の樹木に眠る蝶を目覚めさせたのだ
見つめていると、また一頭の蝶がふわりと現れ
そして消えた
春はまだ先だというのに
冬空を飛ぶ蝶の命ははかない
おれは帰り道を急ぐことにした
もちろん、嘘なんだけどね
あと、”The One"は面白かったです
ジェット・リーの似合ってねぇ仮装大賞が・・・・・・
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